2022/02/28 間取り

二世帯住宅の間取り、部分共有タイプのポイント

二世帯住宅を取得する際にお客様が選ぶ間取りでもっとも多いのが共有型の間取りタイプです。しかし、共有型の間取りタイプは住宅設備やスペースを二世帯で共有する分、間取りのつくり方によってはストレスが生じやすいのが難点。

そこで今回のコラムでは、共有タイプの間取りをつくる際のポイントをご紹介します。

 

共有型の二世帯住宅のメリットとデメリット

人気の完全分離型の二世帯住宅は費用や土地の規模など、クリアしなくてはならない条件が多いのに対し、共有型の二世帯住宅は費用や土地の規模などの条件をクリアしやすいです。住みたいエリアなどの選択肢が広がる点は共有型の二世帯住宅の良い点です。このほかにも共有型の二世帯住宅のメリットとデメリットをみていきましょう。

 

 

費用を安く抑えられる

共有タイプの二世帯住宅の最大のメリットは、とにかく費用を安く抑えることができる点です。

 

キッチン、風呂、トイレなどの住宅設備が世帯ごとに必要になる完全分離型の二世帯住宅は、当然費用が高くなります。

 

共有型の間取りでは、様々な設備を共有できるので建築時の費用を安く抑えることができます。

 

土地の選択肢が増える

二世帯住宅の間取りで共有タイプを選ぶメリットの2つ目は土地を選ぶ際に、様々な土地での検討が可能になるという点です。二世帯住宅の完全分離型の場合ですと、一定の大きさの敷地が求められます。

 

完全分離型の間取りはキッチンやお風呂、トイレなどが単純に2世帯分必要になりますので、建物の規模も大きくなりがちです。

 

一方、二世帯住宅の間取りで共有型を選べば、コンパクトな二世帯住宅も設計することができます。いわゆる、狭小地や変形地とよばれている少し設計が複雑になる土地を選ばれても、二世帯住宅を建築できるのです。

 

 

建物を維持管理しやすい

二世帯住宅であまり意識されないのが、住む世帯が減ってしまった時のシチュエーションです。相続の話は意識される方は多くいらっしゃいますが、建物をどのように扱っていくのか?というところまでイメージされている方はほとんどいらっしゃいません。

 

完全分離型の間取りの場合ですと、それぞれの世帯が独立して生活を送ることを前提とした間取りになっています。

 

例えば、親世帯がなくなってしまった場合や子世帯が仕事の都合で出て行ってしまった場合などは、家を維持していくことが非常に大変になります。

 

共有型の間取りタイプであれば、たとえどちらの世帯だけで生活をすることになったとしても、手入れをする必要がある住宅設備などが少ないので、建物を維持管理しやすいというメリットがあります。

 

 

共有タイプのデメリット

二世帯住宅の間取りで共有タイプを選んだ場合のデメリットは共有部分の使い方によるストレスの発生リスクがあることです。

 

二世帯住宅の失敗や後悔という話のほとんどは世帯間の共有部分の使い方の違いによるものです。

 

このような生活習慣の違いによって発生するストレスを少しでも解消するには、間取りをうまくプランニングすることで防ぐことができます。二世帯住宅づくりで後悔しないためにも、間取りづくりを慎重に行っていくことが重要です。

 

共有型の二世帯住宅は2種類あります

ご存知の方も多いと思いますが、二世帯住宅の間取りのタイプは次の3つあります。

 

  • 完全分離型
  • 部分共有型
  • 完全同居型

 

上記3つのうち、共有型の間取りは、部分共有型と完全同居型の2種類です。次の項ではそれぞれの特徴を解説していきます。

 

部分共有型の間取りについて

部分共有型の間取りでは、キッチンやリビング・ダイニング、お風呂、トイレなどの間取りを部分的に共有します。ご家族のライフスタイルに合わせて住宅設備を部分的に共有することができるので、住宅設備の設置数が少なく済み、費用を安く抑えることができるのが利点です。また、上手に設計することで、親世帯と子世帯が付かず離れずの適度な距離感で生活を送ることができる点も魅力の1でしょう。

 

部分共有型の二世帯住宅づくりのポイント

部分共有型の二世帯住宅では、親世帯と子世帯が付かず離れずの距離感で生活を送ることができるので、子育てのサポートや経済的なサポートが頼みやすかったり、親世帯の体調の変化などに気づきやすかったりと、メリットがあります。

 

しかし、共有部分を間違えて決めてしまうとストレスの要因になってしまうこともしばしば。したがって、部分共有型の二世帯住宅づくりでポイントとなることは、どの部分を共有させるかをしっかりと吟味することです。

 

部分共有型で共有したい部分

部分共有型の二世帯住宅で共有したいものは、リビングやダイニングなど家族全員が一時的に集まるスペースは共有すると都合が良いでしょう。

 

スペースを共有するということは、本来2つ必要なものを1つにできるということです。これは、1つに集約させてコンパクトにするという考え方もできますし、一方で50%と50%を足して100%にできると考えることもできます。

 

掃除や手入れのしやすい整理されたスペースとするか、広くて開放的なスペースにするか、ご家族のライフスタイルに合わせて考えていくとよいでしょう。

 

部分共有型の二世帯住宅では、同時に複数人で使える空間を二世帯で共有していくように考えていくとうまくいくことが多いです。部分共有型の間取りを考える際に、ぜひ参考にしてみてください。

 

できれば共有したくない部分

部分共有型の間取りで、できれば共有したくない部分は、同時に複数人で使うのが難しい部分です。二世帯住宅での生活を送るなかで、共有するとストレスを感じやすいのが「水回り」です。

 

特にキッチンは同時に複数人で使うことがあるから大丈夫だろうと考えられることが多いのですが、複数人でキッチンを使って楽しく感じるのは、たまにしか友人や家族と一緒に料理をする機会がないからです。

 

トイレやお風呂といった使い方が人によってあまり変わらない場所に比べて、キッチンは使い手によってものの配置など、使い方の特徴が顕著に表れる場所でもあります。

 

その使い方の微妙な違いから、親世帯と子世帯、特に女性どうしでお互いの使い方に対して小さなストレスを抱えやすい場所になってしまうのです。

 

住宅は長い期間にわたって生活を営む拠点となる場所です。ですから、「自分の家族は仲がいいから大丈夫!」などと軽視せずに、部分共有型の間取りタイプを採用する際は、ご自身の家族にとって、どの部分を共有していくのが良いのかをしっかりと考え、話し合うことが重要になります。

 

キッチンを2つ設けるのが難しい場合は?

間取りや予算、土地の大きさなどの様々な条件を整理していく過程で、キッチンを2つ設ける必要な場合もあります。そのような時はどのようにするのがよいのでしょうか。

 

私たちが提案しているのは、キッチンの利用範囲を世帯毎に明確に分けるという方法です。

 

キッチンの利用範囲を分けるといっても、既製のシステムキッチンではコンロの数やシンクの数などが予めきめられているため、利用範囲を明確に分けることはできません。

 

しかし、造作のキッチンにすれば、収納やコンロ・IH、シンクの位置など家族のライフスタイルに合わせた完全オリジナルなものを設けることができます。さらに、親世帯と子世帯のそれぞれの使い勝手に合わせた部分を明確に分けているため、ストレスも少なくすることができるのです。

 

既成品のシステムキッチンやキッチン収納を導入するのに比べて手間や費用はかかりますが、部分共有型の間取りにおいては、造作のキッチンを検討する価値は十分にあると考えられるでしょう。

 

完全同居型の間取りについて

完全同居型の間取りタイプは、住宅の全ての機能、設備などを共有します。1つの家に親世帯と子世帯が分かれることなく生活を共にする生活スタイルとなります。イメージとしては、昔の大家族のような感じでしょうか。

 

完全同居型の間取りの特徴は住宅の中が賑やかで楽しい雰囲気になることです。また、部分共有型の二世帯住宅以上にコストを抑えられる点や、将来どちらかの世帯が二世帯住宅で生活しなくなった場合の維持管理がしやすい点も魅力的です。

 

完全同居型の二世帯住宅づくりのポイント

完全同居型の二世帯住宅では、親世帯と子世帯のコミュニケーションの風通しをよくすることが重要です。

 

完全同居型の二世帯住宅の生活を想定する場合には、女性パートナー(妻)の両親との二世帯生活をするとよいことが多くなる傾向にあります。例えば、子どもの些細な変化などは、女性パートナーの方がより気付きやすいことが多いですよね。そのような時にすぐ近くに相談できる親世帯の存在がいることはとても心強いのではないでしょうか。

 

完全同居型の二世帯住宅の間取りづくりのポイントは、個室を丁寧に作ることです。水周りなどの住宅設備を全て共有するので、プライベートな空間の質がとても重要になります。遮音性が高かったり、気密性が高かったりなど、住宅全体の性能を高い水準にすることは難しくても、個室の性能だけにコストを割くことは可能かもしれません。

 

完全同居型の二世帯住宅で生活する際には、資源を効率よくスマートに配分することで快適な暮らしの獲得につなげることができるのです。

 

共有型の二世帯住宅を「安く」取得する方法

親世帯がもともと所有していた不動産を活用することで二世帯住宅の取得費用を安く抑えることができます。よくあるご相談が、もともと親世帯が住んでいた既存の戸建て住宅をリノベーションして二世帯住宅にしたいというものです。

 

親世帯が既に住宅をお持ちなら、リノベーションをして二世帯住宅の取得の検討をしてみても良いかもしれません。リノベーションをする際に、理解しておきたいことについては以下の記事でまとめているので、ご検討されている方はぜひ参考にしてみてください。

 

 

部分共有型と完全同居型、どちらの二世帯住宅を選ぶべきなのか?

これまで紹介してきた、「部分共有型」と「完全同居型」の二世帯住宅ですが、どちら選ぶべきなのでしょうか。その答えはお客様ごとにことなります。

 

参考までに、プランニングの観点から意見を述べるなら、部分共有型の間取りの方が、個人の空間と共有の空間のメリハリがつけやすく、ご家族のライフスタイルに合わせた共有の形をつくりやすいと考えています。

 

共有型の二世帯住宅の豆知識

共有型の二世帯住宅と家族構成の関係

二世帯住宅の間取りで共有タイプを検討する際には、どのような家族構成で二世帯生活を送るのか?という点も間取り選びの1つの指標として取り入れてみるとよいかもしれません。

 

核家族化が進んでいる現代においては、様々な家族構成がありますが、一番わかりやすいものは、男性側の両親と生活するのか、それとも女性側の両親と生活をするのか、という点です。

 

そして、二世帯住宅の間取りの共有タイプは、女性側の両親との二世帯生活を考えている方に向いています。家族構成で、間取りタイプを検討するということはあまり知られていないことなので、二世帯住宅の間取りタイプを検討する際に参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

共有タイプは新築でなくても実現可能性が高い

二世住宅の間取りで共有タイプを検討されている場合、必ずしも新築で二世帯住宅を建てる必要がないかもしれません。特に近年は親世帯がすでに所有されている既存の戸建て住宅をリノベーションして、二世帯住宅にする方も増えてきています。

 

二世帯住宅へのリノベーションを行うほとんどの場合は共有タイプの間取りです。土地取得費用がかからず、さらに既存の建物の構造をそのまま利用することができるリノベーションは新築に比べて費用を抑えることができます。

 

親世帯がすでに戸建て住宅を所有している場合はリノベーションによる二世帯住宅の取得も検討してみると良いかもしれません。

 

 

二世帯住宅の間取り、共有タイプの相談先は?

トラブルを防ぐためには、キッチン、お風呂、トイレ、玄関、各種収納など二世帯住宅ではきめ細やかな配慮をしながらのプランニングを行うことが必要になります。二世帯住宅における「間取り」は非常に重要です。

 

ハウスメーカーや工務店の場合は、ある程度決められた間取りのパターンと仕様があるからこそ、コストや工期をコンパクトにできるのですが、世の中の多様な生活スタイルの家族に対して、決められた間取りと仕様で納得するのは難しいのではないでしょうか。

 

 

二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方

私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。

一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。

 

ご家族の生活に合致した間取りの二世帯住宅をご希望の方は是非ご相談ください。