2022/02/10 間取り

二世帯住宅の暮らしをメリット、デメリットに分けてご紹介します!

今、二世帯住宅での暮らしを選択する方が増えています。

しかし、二世帯住宅での暮らしを具体的にイメージできる方は意外にも少ないようです。

今回のコラムでは、二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所だからこそお伝えできる情報をメリットとデメリットの観点からご紹介します。

二世帯住宅をご検討されている方は、二世帯住宅の生活をイメージする際の参考にしてください。

 

二世帯住宅が再び注目を集めています。

今では親世帯と子世帯がそれぞれ独立した生活を営むことが一般的となっていますが、改めて「二世帯住宅」の取得を考えている方が増えています。

私たちへの住宅設計のご相談も、二世帯住宅に関するものがここ数年で一気に増えた印象です。

 

二世帯住宅を取得する理由は「介護」や「育児」が一番ではなかった。

二世帯住宅を取得する理由と言えば、「高齢な両親が心配だから」や「共働きでの育児で両親のサポートを受けたいから」などが代表的な例としてよく挙げられますが、これらは2番目や3番目の理由です。

 

1番目の理由は「二世帯で協力すれば夢のマイホームが実現できそうだから」なのです。

 

二世帯住宅の最大のメリットは費用!

高齢者の長寿命化や夫婦共働きの世帯が増えたことで、「二世帯住宅であれば取得できそうだ」と考える方が増えています。

 

二世帯住宅は税金をはじめとした費用面での優遇措置も多く、二世帯住宅であればオリジナルの間取りやデザインの完全オーダーメイドの注文住宅を実現できる可能性も広がります。

 

二世帯住宅でできる減税措置は圧倒的なメリット!

二世帯住宅では、様々な条件を満たすことで税金を減らすことが可能です。主に抑えておきたいのは「小規模住宅地の特例」です。条件が適用されれば、土地の評価額を最大80%まで抑えることができます。また、中古住宅をリフォームして二世帯住宅とする場合の不動産取得税の控除額を増やすことができます。そのほかにも、二世帯住宅とすることで税金に関連することが有利に働く場合があります。せっかく二世帯住宅にするなら少しでも費用面でのメリットを大きくする方法を知っておくとよいでしょう。

 

二世帯住宅の暮らしのメリットは?

二世帯住宅の暮らしにおける最大のメリットは次の2つです

 

・親世帯の生活の不安や負担を減らす

・子世帯の家事や子育てのサポート

 

二世帯住宅で暮らせば、親世帯も安心。

高齢である親世帯の多くが、「今より歳をとって体の自由がきかなくなってきても自分たちだけで生活を維持できるのか」を心配するケースが多いです。

 

二世帯住宅での暮らしは親世帯のこのような不安や心配を解消できます。

 

主に次の2点についてご心配される親世帯が多く、私たちにもたくさんご相談がきます。

 

・老後の生活にかかる費用が心配

・体力で災害や病気など、万が一の時が心配

 

二世帯住宅なら、老後の生活費を安く抑えられる場合も!?

二世帯住宅を取得した際に、光熱費などの生活費をどちらかの世帯が全額負担することはあまりなく、生活費を部分的に分ける方が多いです。

 

このようなケースでも、二世帯住宅ならご家族の経済状況に合わせて、共有する住宅設備や占有面積の割合など、間取りや仕様を細かく設計すれば、親世帯の生活費の負担を軽減できます。

 

 

災害や介護に備えた暮らし

災害や病気などの万が一の時、近くに頼れる存在がいることは想像以上の安心感があります。歳を取るにつれて社会との接点が少なくなりますが、子や孫とのコミュニケーションがある生活環境は豊かなものではないでしょうか。

 

とはいえ、いつでも子世帯が親世帯をサポートできるわけではありません。

重要なことは二世帯住宅の取得時に災害や介護などに備えた建物にすることです。

 

特にバリアフリーを反映した設計は通常の住宅設計とは勝手が異なります。

玄関やキッチンなど、家の1つ1つに高齢者目線の配慮が必要です。したがって、特に二世帯住宅の場合は専門性の高いプロに相談するのが良いでしょう。

 

二世帯住宅は共働き夫婦の味方!?

共働き世帯の大きな悩みの1つが、仕事をしながらの子育てです。

 

急な打ち合わせや外せない出張が入ってしまったときに、近くに子どもの面倒をみてくれる親世帯がいるのは大きな支えです。

 

このような二世帯の関係は「距離感」が大事になります。

 

離れすぎると子育てで困ったときに頼りづらかったり、逆に近すぎると自分たちの思うような育児がやりづらくなったりすることも。

 

二世帯の距離感を上手にコントロールするように家づくりを行なう必要があることを覚えておきましょう。

 

 

二世帯住宅のデメリットは?

二世帯住宅のデメリットとしてよくお客様が心配するのが

 

・キッチンやお風呂などの使い方が合わないかもしれない

・お互いの生活音が気になるかもしれない

・コミュニケーションの頻度が多すぎて嫌になってしまうかもしれない

 

など、親世帯と子世帯の生活スタイルの相違によるストレスが生じることを二世帯住宅のデメリットとして考える方が多いです。

 

二世帯住宅をご検討の方が想像しづらい、ストレスの要因をご紹介します。

二世帯住宅の間取りの確認の際にお役立てください。

 

二世帯住宅でストレスの要因になりがちな意外な場所!

二世帯住宅で意外にもストレスの要因となってしまう場所が玄関です。

 

二世帯住宅で共有部分になることが多い玄関ですが、朝の余裕のない時間帯に玄関でトラブルが起こると予想以上にストレスを感じてしまいます。

 

使い方の違い

玄関が狭い

収納スペースが足りない

 

など、玄関は意外にもストレスが発生する要因が多いにも関わらず、プランニングの段階ではその問題がイメージしにくいのです。

 

 

親世帯が抱える二世帯住宅のストレス

親世帯がデメリットとして心配されるものは、

 

・子世帯名義の建物で、友人を招きづらくならないか。

・子世帯に遠慮してしまい共有部分を使えなさそう。

 

などがあります。

 

将来的に子世帯からサポートを受ける可能性が高い親世帯は、何かと子世帯に対して気を遣いがちになるのです。

 

二世帯住宅で子世帯が感じるストレス

子世帯の方がデメリットとして心配されるのは次のことが多い印象です。

 

・奥様/旦那様(=新しい家族)と義両親との関わり方が心配。

 

例えば、仕事が忙しく家事・炊事に手が回らなかった際の義両親からのサポートが、かえって精神的な負担になってしまうことなどがあります。

 

義両親と初めて生活を共にするパートナーにとっては「手伝ってもらってばかり・・・」「自分がしっかりしなければ」という精神的なプレッシャーにつながってしまうこともあるのです。

 

 

デメリットを感じない二世帯住宅づくりの鍵

家族間の問題を根本的に解決することは非常に難しいですが、間取りを工夫することで問題発生の可能性を限りなく抑えることは可能です。

 

ご家族のライフスタイルやご要望、経済状況といった諸条件を整理・調整して、最適な間取りづくりのサポートをしてくれる設計者の存在が鍵となります。

 

二世帯住宅はどこに相談すればいいの?

親世帯、子世帯のそれぞれのライフスタイルや要望、条件を1つの建物で解決するには、細かな要望に1つずつ柔軟に対応することができる相手が必要になります。

 

二世帯住宅の相談先は主に次の3つです。

 

・ハウスメーカー

・工務店

・設計事務所

 

ハウスメーカーでは、仕様や設備などはある程度決められており、お客様に完全に合致する内容の住宅になることはあまり期待できません。

 

工務店も同様で仕様が決まっていることが多く、さらに工務店の場合は施工が主業務になるので設計のノウハウが他者に比べて劣るケースも少なくありません。

 

細かな要望や条件に対して柔軟な対応が可能な点を考えると、設計事務所が最適な相談先でしょう。

 

 

二世帯住宅のメリット・デメリットのまとめ

二世帯住宅は親世帯と子世帯で助け合うことができる反面、二世帯で暮らすからこそ感じてしまうストレスがあります。

 

「住宅取得は人生で一番大きな買い物」と言われるように、コストをかけるなら後悔はしたくないはずです。

 

二世帯住宅が完成する前にトラブルになりそうなことをしっかりと知らせてもらっていれば、ご家族で話し合いながら、納得のいく形で間取りの計画を進められるのではないでしょうか。

 

既にある間取りにどのような問題が隠れているのか、プロと一緒に再確認してみるのもよいでしょう。