2022/03/28 間取り

狭小住宅の収納術で二世帯住宅の間取りを改善!?

二世帯住宅は、敷地条件や予算の都合によっては少しタイトな作りになってしまう場合が多々あります。

「コンパクトな二世帯住宅だと快適な暮らしを送れないのでは。」と不安に思っていませんか。特に収納スペースの確保はコンパクト二世帯住宅ではネックになりがちなポイントです。

そこで今回のコラムでは、コンパクトな住宅、狭小住宅で活用されている収納スペースを確保する手法をいくつかご紹介していきます。コンパクトな二世帯住宅を少しでも快適にする一助になれば幸いです。

 

収納と間取りと二世帯住宅の規模感

二世帯住宅を建築する土地の大きさで多いのが、敷地面積が200m2以下の土地です。これは、小規模住宅地等の特例の「200m2以下の土地」という要件を満たし、税金の優遇措置を受けることができるという点が関係していると考えられます。

多くの方は敷地面積が200m2の大きさの土地を取得しません。だいたい40坪〜50坪程度の大きさの土地を取得する方が多い傾向にあります。これは、二世帯住宅の規模として不可のない規模感で、土地取得に建物規模や予算などの条件を総合的に判断した結果と考えられるでしょう。

 

二世帯住宅の規模感を考えてみましょう

例として少しタイトな30坪の土地に二世帯住宅を建てる場合で考えてみましょう。都内で建てる二世帯住宅の場合は、1階を駐車場とした、3階建ての建物になる場合が多いです。したがって、実際に生活をする坪数は敷地面積に建蔽率を乗じて算出すると36坪(=18坪×2階)となります。

 

 

二世帯住宅の場合ですと、単純に考えると1世帯あたり18坪(≒60m2)となります。そのうち収納としては、「だいたい10m2(≒3坪)程度は確保できるかな?」というところでしょうか。ただしプランニングによっては、収納スペースをさらに小さくして、主要な居室の面積を広く確保する場合もあります。

タイトな敷地面積に建てる二世帯住宅ほどスマートな設計が求められるのです。

 

 

さて、ここまでの内容で二世帯住宅の規模感をザックリつかんだところで、本題の収納のポイントについてご紹介していきたいと思います。

 

二世帯住宅のリビング、ダイニングの収納のポイント

住宅において特に重要視されるのがリビング、ダイニングの収納です。「リビングを開放的に!」というご要望は住宅設計の要望の中でも多いですが、少しタイトな家になりそうな場合は、リビングよりも、むしろダイニング・キッチンを広くした方がリビングの開放感を確保できる可能性があるのです。その際に重要になってくるのがダイニング、キッチンの収納スペースです。

 

リビングよりダイニングを広くした方がいい!?

ダイニングスペースを広くした方がいい理由は、住宅内における「モノ」が一番多くなるのがダイニング・キッチンだからです。

パントリーを確保するゆとりがない場合は、吊り戸棚などのキッチン収納を充実させることで、家の中がとても片付いてみえます。リビング、ダイニングに置かれるものが少なくなると空間に整った印象と清潔感が生まれ開放感を感じやすくなります。

また、同時に居室を占有する人数もダイニングスペースを広くするべき理由に寄与します。例えば、リビングスペースを占有する人数は、完全分離型の場合、子世帯が3〜4人(夫婦、こども)で、親世帯は2人です。リビングを共有する場合でも最大6人程度が一般的です。

ほとんどの時間を座って過ごすリビングスペースよりも、立って動き回る頻度が多いダイニングスペースこそ、広く作り十分な収納スペースを確保することがゆとりのある二世帯住宅をつくるための重要なポイントになるのです。

 

 

ダイニングの収納は様々なバリエーションがあります

二世帯住宅のダイニング、キッチンの収納では、吊り戸棚やキッチン下収納とあわせて、みせる収納も活用することで、利便性とおしゃれな雰囲気をつくることができます。

例えば、フライパンなどのキッチン用品を壁にかけたりすれば、よく使うものが目に入りやすい位置にあるという利便性の確保に加え、飲食店のようなおしゃれな雰囲気を演出することもできます。棚にしまえる量にゆとりが生まれるのも見せる収納を活用して得られる恩恵です。二世帯住宅のダイニング、キッチンを計画する際には設計のプロに上手な収納の活用方法を相談してみましょう。

 

二世帯住宅のスキマを有効活用しよう!

ポイントの二つ目が住宅の「スキマ」を有効に活用することです。これは、狭小住宅でもよく活用されるテクニックです。

住宅のスキマはしばしばデッドスペースという言葉で表現されることがあります。変形敷地などに二世帯住宅を建てる場合は、このデッドスペースが多くでてきてしまう傾向があります。有効に使える部分が減ってしまうのではないかとご心配される方もいらっしゃるかと思いますが、このデッドスペースも無駄なく有効に使うことで不足しがちな収納スペースの確保につながります。

 

二世帯住宅におけるデッドスペースはどこ?

二世帯住宅でデッドスペースになりがちなのが、ズバリ階段の下です。都内の場合では、そもそも広い土地の確保が難しいので、平屋建ての二世帯住宅を作ることは難しいです。そのため、階段を設けて2階建て以上になるのが自然です。

階段を設けると、階段の下は必ずデッドスペースができます。ここの部分を有効に使えるように設計をすることが、二世帯住宅づくりでは重要なポイントとなります。

 

二世帯住宅の場合は階段下のトイレは避けましょう

二世帯住宅を計画する際に階段下のデッドスペースを有効に使うという話は実は昔からよくある手法なのです。二世帯住宅の間取りで階段の下のスペースによく設けられるのが、トイレか収納です。

階段下にトイレを設けると、階段の寸法によっては窮屈になってしまいます。体力の衰えを感じ始める親世帯は階段を使わない生活が送れるよう配慮されるので、1階が主要な生活エリアになりがちです。他の居室のスペース確保のためにトイレを階段下にしてしまうと介護などが必要になった際に十分なスペースがなく大変になってしまいます。

このようなリスクを最小限にしながら、収納スペースも増やすという点で、階段下のデッドスペースは収納スペースとして活用することが望ましいでしょう。

階段下に設ける収納のバリエーションとしてもっとも多いのが、倉庫(=物置)としての利用、ついで水回り(トイレ、風呂、洗濯)用の収納です。理由は単純で階段下のスペースは基本的に近くに玄関か水回りが来ることが多いからです。二世帯住宅の場合、階段の下を倉庫(物置)として利用するのが良いでしょう。

 

間取りにあった収納をつくろう!

二世帯住宅の収納の検討する際にもっとも重要になることが、間取りにあった収納をつくることができるか?ということです。

間取りにあった収納スペースを作る際に合わせて考えたいのが造作家具の導入です。

これまでに紹介した、ダイニング、キッチンの収納や階段下の収納などはタイトな住宅の設計では、既製品では微妙に使えないスペースが余ってしまったり、逆にスペースが微妙に足りなくなってしまったりするなど、対応難しい場合が増えてきます。

加えて、造作家具の導入は既製品を基本として扱うハウスメーカーは対応できない場合が多いのもポイントです。

小さなスペースを余すことなく活用するなら、家具までオリジナルで設計をしてくれる、設計事務所に相談してみるのが良いでしょう。

 

二世帯住宅の収納に造作家具を!

二世帯住宅の場合は、普通の戸建て住宅以上に敷地条件や家族の生活スタイルに細かに応えた間取りを計画することが必要になります。その多様な条件に細かに対応するためにも、オリジナルの造作家具が有効なのです。

例えば、変形敷地に計画することになり建物の形がいびつになってしまった場合など、その形に無駄なくピッタリあうような家具やキッチンの製作を行うことでスペースを無駄なく最大限活用することができます。

また、リビング、ダイニングを共有する生活を行う場合などは、親世帯と子世帯で収納の高さやタイプを変えたりすることで、世帯毎にスペースを明確に分けて使えるようにしたり、高齢者に優しい使い勝手のいい収納としたりできます。

もちろんデザイン性もしっかりと確保した上で対応することができます。このように造作家具を導入することは、二世帯住宅を計画する上では明暗を分ける重要なポイントとなるのです。

特殊な敷地の形やコンパクトな二世帯住宅になりそうな場合でも、造作家具での対応の可能性があることを理解していると、選択肢の可能性も広がりますので、悩んだ際は相談してみるのが良いでしょう。

 

二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方

私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。

一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。

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