2022/03/11 住宅性能

二世帯住宅の音の問題と対策方法について

二世帯住宅に住み始めてから気になる問題の1つに、音の問題があります。

今回のコラムでは二世帯住宅の音問題を回避するために、設計段階でできる対策をご紹介します。

 

二世帯住宅の音の問題は構造が原因?

二世帯住宅の音の問題について「木造だと音が響くのではないでしょうか」と心配されるお客様が多くいらっしゃいます。

確かに、木造は音を伝えやすいです。

木という材料そのものが音を伝えやすい性質を持っており、RC造の建物に比べると音が響きやすいです。

 

二世帯住宅は木造でつくるのが多い!

技術の進歩により木造でも音を響きにくくすることが可能になりました。

重要なのは、床や壁の防音性能が高い仕様を選ぶことです。

加えて、間取りの作り方で音が気にならないように配慮することも可能です。

生活音に対して敏感だという方は、予め設計者に高い遮音性能を確保したい旨を伝えておくとよいでしょう。

 

二世帯住宅の音の問題と間取りの関係

二世帯住宅は、二世帯が1つの建物に住むこともあり、音の問題が気になるケースが少なくありません。

近隣への音漏れの心配よりも、生活を共にする親世帯、子世帯の生活音が気になる方が多いです。

特に完全分離型の間取りのタイプでは「普段あまり親世帯と子世帯の関わりがない分、生活音が聞こえたときに余計に気になる」とおっしゃる方もいますね。

 

 

それでは、二世帯住宅で生活する際の音の問題はどのように対策をすればよいのでしょうか。次の項でいくつかご紹介します。

 

二世帯住宅の音問題は間取りで解決!?

音の問題はもちろん性能によるところもありますが、性能面にコストをかけることが難しい状況も多々あります。

このような場合には、寝室の位置や水回りの位置、界壁(各世帯を隔てる壁)を設ける位置など、間取りの計画によって補うことができます。

音が気になりやすい、室とその対策方法をみていきましょう。

 

二世帯住宅の音が気になりやすい場所「トイレ」

二世帯住宅の場合、トイレを高齢の親世帯がアクセスしやすい位置に独立して配置することがありますがこの方法はあまりおすすめできません。

なぜかというと、トイレは音が出るだけでなく匂いも発生する場所だからです。

アクセスしやすい場所となると、リビングやダイニングなどの主要居室に隣接する配置が考えられますが、これは思わぬ音や匂いの問題に繋がるリスクが高まります。

 

二世帯住宅のトイレの音問題を軽減するポイントは?

二世帯住宅ではトイレの配置は、浴室、洗面・脱衣室などの近くに配置することを基本としてください。

建築設計の業界では基本的にトイレ、洗面、浴室などは1つのまとまりとして計画します。

基本とされている理由の1つに音の問題への配慮も含まれています。

主要居室から直接トイレへアプローチするよりも、主要居室から洗面・脱衣室へ入り、そこからトイレへアプローチする方が、音や匂いが気になりにくくなります。

トイレ音や匂いの問題でストレスを感じたくないという方は、トイレを独立して配置せずに他の水回りとセットで配置するということを意識してみてください。

 

補足:トイレと一緒にPS(パイプスペース)の配置にも配慮してみよう

さきほどのトイレの配置と一緒に配管の位置に配慮することで、さらに音の問題を軽減することができます。

配管の配置が関係するのは、トイレ、エアコン、洗面、お風呂、キッチンなどです。

これらの配管の位置をまとめて管理するスペースがPS(=パイプスペース)です。

パイプスペースはリビンスやダイニング、寝室などの主たる居室に比べると設計上の優先度がどうしても下がります。

しかし、安易にパイプスペースを配置してしまうと、部屋の中に水の流れる音が響いてしまったりメンテナンスがしづらくなったりするので、意外にも重要なスペースなのです。

この問題を回避するには、パイプスペースの配置をなるべく外部に面した位置とし、なおかつ主要な居室から離れた場所に配置するとよいでしょう。

設計者との打ち合わせでは、話題になる回数が少ないのですが、設備に関する打ち合わせの際には、配管ルートも合わせて確認できると良いでしょう。

 

二世帯住宅の音が気になりやすい場所「寝室」

二世帯住宅で音が気になりやすい場所の2つ目が寝室です。

設計図や模型上では、寝室の音の問題はほとんど想像することができませんが、壁や床の厚みや仕様、作り方によっては住み始めてから「これほど音が聞こえるとは思っていなかった」などということになりかねません。

 

二世帯住宅の寝室の音問題を軽減するポイントは?

予算に余裕があり、遮音性能などに配慮した仕様を選ばれる場合は特に問題にはなりませんが、あまり遮音性能にコストをかけられないというのが実際のところですよね。

このような際に、親世帯、子世帯の寝室の配置を工夫することで寝室の音を気になりにくくすることができます。

例えば、共有スペースを一箇所にまとめそれぞれの世帯の寝室を共有スペースから離す方法や、上下階で同じ位置に寝室が来るように配置する方法、寝室のみ床や壁の遮音性能を高くする方法などがあります。

健康を保つうえで睡眠の質は非常に重要ですよね。ストレスを溜め込まないためにも、上記のポイントを意識して寝室を考えてみてはいかがでしょうか。

 

二世帯住宅の音の問題を回避したい時の相談先は?

二世帯住宅の音の問題の発生リスクを抑えるには、部分的に仕様のグレードを変更したり、間取りの計画に融通をきかせたり、より自由度の高い設計を行う必要があります。

このように、細かく間取りや仕様を変更、検討する際には、設計事務所が相談先としてベターでしょう。したしみやすい設計事務所も多いので、この機会にぜひ相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

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