2022/03/01 お金

二世帯住宅の建築費用について

二世帯住宅の建築費用については、様々な情報があります。しかし、情報ごとに紹介されている建築費用が異なっていて、どの情報が正しいかわからないですよね。

 

これは、二世帯住宅の費用は建てる地域や敷地などの条件、間取りや規模などによって二世帯住宅の建築費用が異なってくるからです。

 

つまり、「二世帯住宅の建築費用は“いくら”かかります!」と断言することができないということになります。

 

二世帯住宅の建築費用の基本的なことがらについてはしっかりと理解することで、少なくとも損をするリスクは少なくすることができるでしょう。

 

今回のコラムでは、二世帯住宅の建築費用に関する基本的な内容を解説していきます。

賢く二世帯住宅を取得するために、ぜひ参考にしてみてください。

 

二世帯住宅の建築費用の種類について

突然ですが皆さんは、二世帯住宅の建築費用がどのくらいになるか知りたいとき、どのように計算していますか?

 

この問いかけに対して、だいたいの方が「坪単価を利用します」と答えます。

 

たしかに概算でなんとなくの建築費用を想定する際に、坪単価はよく用いられます。

しかし、実際には、概算で出した建築費用と価格が合わないことがあります。

 

これは一体なぜなのでしょうか。それは、皆さんが概算で出した建築費用に、含まれていない種類の費用があるからなのです。

 

それでは、二世帯住宅の建築費用にはどのような種類があるのか確認してみましょう。

 

二世帯住宅の建築費用:本体工事費用

二世帯住宅の建築費用のほとんどを占めるのが、この「本体工事費用」です。

みなさんが坪単価を用いて二世帯住宅の建築費用を試算される場合のほとんどが本体工事費用になります。

 

本体工事費用とは、文字どおり建物本体の工事にかかる費用です。具体的に解説すると、柱や梁、基礎などの建物の構造体や床、壁、天井、屋根といった空間を構成する要素、その他にも住宅設備やそれに伴う配管、配線などの建物本体に関わるものすべての工事費用が本体工事費用に含まれます。

 

ハウスメーカーやパワービルダーなどでは、参考価格として坪単価を表示している建築会社も多くありますが、これは自社にある標準仕様をもとに算出している坪単価です。

 

一方、設計事務所の場合は参考価格を表示していないことがほとんどです。これには理由があります。設計事務所では、お客様一人ひとりのご要望やご予算にあわせて、建物規模や構造、間取りや仕様が検討された完全オーダーメイドの建築が設計されます。そのため、基本的には標準仕様と呼ばれるものは存在しないのです。

 

二世帯住宅の建築費用:付帯工事費用

さきほど紹介した本体工事費用とは別にかかってくる建築費用が、付帯工事費用です。

付帯工事費用とは、水道や電気、ガスといったライフライン(インフラ)の整備にかかる工事費用のことです。

 

水道や電気、ガスなどは日常的につかいますし、料金の支払いもしているので想像しやすいですが、この他にも皆さんに馴染みがあまりない、地盤改良費用というものも含まれています。

 

地盤改良費用は付帯工事費用の中で、場合によって費用が大きくなるものです。

例えば、計画予定地の地盤が軟弱な場合、建物の重量によっては地盤改良工事が大規模なものになることもあります。

 

地震国である日本では、人々の命の安全を守るために、地盤の状態を調査したり、改良したりするなどして、土地の安全性を保証することが重要なのです。

 

二世帯住宅の建築費用と税金について

二世帯住宅づくりでは、税金に対する優遇措置がとられていることもあり、税金に関する基本的な知識はとても役立ちます。この項では最低限知っておきたい基本の4つの税金について解説していきます。

 

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得した人に「その不動産の所在する都道府県」が課す税金です。不動産取得税は不動産を取得した時に一度だけ納める税金で、固定資産評価額に3%を乗じた金額がかかります。

 

固定資産税

固定資産税はよく耳にされる方も多いのではないでしょうか。固定資産税の課税対象は土地・家屋・有形償却資産です。固定資産税は固定資産評価額に1.4%を乗じた金額が課されます。

 

都市計画税

都市計画税は市街化区域内に土地・家屋を所有している場合にかかる税金です。都市計画税は先ほど紹介した固定資産税と共に課税されます。都市計画税は自治体ごとに納める税金ですので、地方税として扱われます。

 

印紙税

二世帯住宅の建築費用における印紙税とは、契約書類等にかかる税金のことです。印紙税は契約書類に記載されている契約金額ごとに課税額がことなり、契約金額の大小に応じて課税額が変わります。二世帯住宅を取得するほとんどの方は2万円の課税額になる場合が多いでしょう。

 

二世帯住宅の建築費用を安くするアイディア

二世住宅の建築費用、少しでも安くしたいと考えるのはごく自然なことです。

この項目では、二世帯住宅の建築費用を少しでも安くしながら良質な暮らしを実現するためのアイディアを紹介します。

 

補助金を活用する

二世帯住宅を建築する際に条件を満たすことで活用できる補助金があります。

 

もともと決まっていた予算に補助金が加わることで、暮らしの質を少しでも高めるために住宅の性能やデザインに費用を捻出できるかもしれません。

 

ただし、二世帯住宅に適用できる補助金については自治体ごとに内容が異なりますので、各自治体に直接問い合わせて確認することが大切です。

 

二世帯住宅でよく活用が検討される補助金は主に次の3つでしょう。

 

  • 地域型住宅グリーン化事業
  • 住まい給付金
  • 長期優良住宅化事業

 

二世帯住宅に活用できる補助金は、自治体ごとに制度が異なっていたり、満たすべき要件を理解するのが難しかったりと、決して活用のハードルは低いとは言えませんが、それでも費用面では得なので、検討する価値は大きいでしょう。

 

既存建物を活用する

新築にこだわらないのであれば、リノベーションや増築、用途変更など、既存建物を活用した二世帯住宅の取得方法を検討してみるのもよいでしょう。

 

既存建物を活用して二世帯住宅を取得するケースはよくあります。

 

例えば、親世帯が所有している土地と戸建て住宅をリノベーションして二世帯住宅にされている方などは少なくないのではないでしょうか。

 

リノベーションや増築、用途変更といった既存建物の活用は、土地取得費用がかからないことも多く、新築に比べて費用が安いです。

 

都内の両親の持ち家をリノベーションして二世帯住宅にすれば、税金対策としても有効的な手段として積極的に検討したい方法の1つでしょう。ただし、既存建物活用に伴う、特有のリスクについては、あらかじめ理解しておきたいところです。

 

 

部分的に仕様を変える

ハウスメーカーやパワービルダーなどは、より多くの人に二世帯住宅を買ってもらうために、価格を安く設定していることが多いです。当然、安く二世帯住宅をつくるためには安い材料や安い既製品を採用しなければなりません。安い材料や既製品の中に、高い機能性とデザイン性を兼ね備えているものがほとんどないというのは、皆さんも日々の生活から想像しやすいのではないでしょうか。

 

ハウスメーカーやパワービルダーの提供する二世帯住宅が悪いとは全く思いません。

 

しかし、「人生で一番高い買い物」と称される、住宅づくりにおいて、すべて安い仕様というのはどことなく物足りなさを感じてしまうものです。せっかく高い費用を支払うのですから、少しでも良質な暮らしを目指してみても良いのではないでしょうか。

 

そこで、ぜひ取り入れて欲しいのが、部分的に仕様の金額を調整し、コストコントロールする方法です。

 

二世帯住宅は住まう家族の人数も多く、ライフスタイルや価値観も様々です。

 

例えば、「家族が多いからキッチンにはこだわりたいけど、お風呂に浸かる家族は少ないからお風呂はこんなに大きくなくてもいいかな」とお考えなら、キッチンに高級な海外製品を導入する代わりに浴室は標準のものよりも安い既製品を採用してコストのバランス保つことが考えられます。

 

このように二世帯住宅では、家族のライフスタイルに合わせて限られた予算を、賢く割り当てていくことでコストバランスを保ちながら暮らしの質を高めていくことができるのです。

 

柔軟に対応してもらうのが難しい場合も…

ハウスメーカーやパワービルダーの中には、部分的な仕様の変更に対応してくれるところもありますが、細かな要望まで柔軟に対応したり、よりよいものを都度提案したりしてもらうのはなかなか無いというのが実際のところです。

 

この理由の1つに、生産方法が挙げられます。

 

ハウスメーカーやパワービルダーなどは、組織ごとに工事を委託する施工会社が決まっていることが多く、この場合の工事業者は、得意先のハウスメーカーやパワービルダーの決められた仕様に沿った工事を得意としています。

 

そのため、部分的な仕様変更が生じると、扱いなれていない材料や機器を扱ったり、普段とは異なる施工方法を検討したりする必要が出てきます。すると、工期が想定外に伸びてしまったり、施工不良につながる可能性がでてきてしまったりと、リスクが生じてしまいます。

 

このリスクを回避するために、仕様の変更などに対応しづらいことが多いのです。

 

 

細かな要望まで実現したいなら?

上記のような事情で、部分的な仕様変更を嫌うハウスメーカーやパワービルダーが多いですが、設計事務所に相談すれば、限られた予算を賢く使うことができるかもしれません。

 

設計事務所に相談するメリットは、完全オリジナルのオーダーメイド二世帯住宅をつくることができることです。当然、設計料はかかりますが、限られた予算の中で、各部分の仕様を細かく検討しながら暮らしの質を高めるための設計を行ってくれます。

 

設計事務所というと、デザインに関することが話題にあがることが多いですが、実際には設計監理という、クライアントにとって非常に大切な業務を遂行してくれるのです。

 

設計事務所に依頼するメリットとは?

建築設計においては、どんな規模の建物でも、小さなネジから大きな木材や鉄骨、コンクリートならその配合量まで、とてつもない量の情報を扱わなければなりません。

 

設計監理とは、土地や建物に関わる情報収集や調査をはじめ、基本設計・実施設計などの建築設計に関する設計図の作成や検討、そして、工事業者が設計図面通りに工事をしているか、工事に手抜きはないかなどを監理することです。

 

ハウスメーカーやパワービルダーはより多くの人に住宅を供給するため、1人の現場監督が同時に複数の工事現場を監督していることがほとんどです。

 

多くの物や人、情報が行き交う工事現場を1人の現場監督が複数同時に監督するのは想像しただけで無理がありそうですよね。実際に、多くの住宅の施工不良や欠陥は工事の際に生じることが多い、というのも業界内では一般的な話です。

 

ご自身とその大切なご家族の暮らしを今後何十年にもわたって支えることになる住宅づくりにおいては、より正確であることが求められるべきではないでしょうか。

 

これを確実なものとするために設計事務所は、そのプロフェンションの限りを尽くして設計にあたってくれるのです。

 

二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方

私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。

一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。

 

ご家族の生活に合致した間取りの二世帯住宅をご希望の方は是非ご相談ください。