2022/04/12 間取り

二世帯住宅の完全分離へ増築をする際の注意点

増築をして二世帯住宅を取得しようと考えている方もいらっしゃいますが、増築での二世帯住宅の取得はリノベーションやリフォームとは異なり難易度が高くなります。

今回のコラムでは、既存の住宅を増築して二世帯住宅を取得しようとお考えの方のために問題になりやすいポイントをご紹介します。

 

増築して二世帯住宅を取得する際の確認申請に注意しましょう!

増築して二世帯住宅を取得する際は確認申請手続きが必要になるかどうかを把握しておく必要があります。

次の2つのどちらかに該当する場合、増築の確認申請が必要となります。

 

  • 10m2以上の増築
  • 準防火地域、防火地域での増築

 

地方の場合は防火指定のない地域での増築もありますが、都心や建物が多いエリアでは防火指定があることがほとんどです。

したがって、増築して二世帯住宅を取得する際には確認申請が必要かどうかをしっかりと確認しましょう。

 

確認申請をしないで増築をしたらどうなるの?

確認申請をせずに増築をしてしまうと、違反増築に該当し直ちに是正しなくてはならなくなります。違反増築した建物は売買できなかったり、ローンが組めなかったり、将来的な建物の活用の可能性もなくなってしまいます。

増築の確認申請手続きに関しては、建築の専門家である一級建築士や設計事務所に相談するのが良いでしょう。

 

増築の確認申請ができない「検査済証がない建物」に注意しましょう。

増築して二世帯住宅を取得する際に確認申請が必要になることは多いです。

その際によく問題になるのが、既存建物の検査済証がないことで増築ができなくなってしまうというもの。

検査済証がない場合は、検査済証に変わる書類を取得するために、高額な費用を支払う必要がある上に、調査などに時間がかかります。

このような場合は二世帯住宅への増築の計画自体が頓挫しかねません。

既存建物がどのような状態にあるのかをしっかり把握しておきましょう。

 

増築する前に既存建物の容積率と建蔽率を確認しましょう!

増築して二世帯住宅を取得する際には、事前に現在の建物の容積率と建蔽率を把握しておくことが重要です。建蔽率に余裕があれば、建築面積を増やすことができますし、容積率に余裕がある場合は建築面積ではなく延床面積のみ増築することとなります。

容積率に余裕があったとしても、高さ制限や斜線制限などの法規制に適合するようにしなくてはいけないので注意が必要です。

このような法的に問題がないかの判断は、一級建築士や設計事務所に相談して検討してもらう必要があるでしょう。

 

別棟増築をする際の注意点!用途上の可分、不可分を考えよう!

増築して完全分離型の二世帯住宅を建築する際には、既存の建物とは別に同じ敷地内にもう1つ家を建てるイメージで増築を検討される方がいらっしゃいますが、建て方によっては敷地を分割する必要が出てくるので注意が必要です。

建築基準法では1つの敷地に1つの建物しか建てられないことが定められています。

しかし、世の中には同一敷地ないに複数の建物が建っているのをみたことがあるかと思います。

このように同じ敷地内に複数の建物を建てることが認められる場合は、用途上不可分であると判断されているからなのです。

 

別棟増築で用途上不可分とされるケース

用途上不可分という状況は、住宅の場合では例えば、別棟増築で建築される建物が住宅の3点セットを持っているかどうかというところで判断されます。

住宅の3点セットとは、「風呂」「トイレ」「キッチン」の3点セットです。

これが揃っている建物を同一敷地内に別棟で増築する場合は用途上可分であるとみなされ、同一敷地内での建築が認められません。

どうしても建築する必要がある場合は、敷地を分割すれば建築が認められますが、新しく分割した敷地の大きさに対して容積率や建蔽率などの法規制に適合させる必要がでてくるので、建築の条件がさらに厳しくなります。

 

別棟増築で二世帯住宅の完全分離を取得するのは難しい

先ほど解説した用途上可分、不可分の話を踏まえると、共有部分がない完全分離型の二世帯住宅は別棟増築で建築することは難しい場合が多いことが理解できるのではないでしょうか。

二世帯住宅の完全分離型を増築によって取得する場合は、別棟増築ではなく同一棟増築を選択する方法が一般的でしょう。

同一棟増築の場合は、既存建物の現況の調査が必要になる他、構造図や意匠図などの建築時の図面などが必要となります。

既存建物の図面や書類が不足している場合は、確認申請ができなかったり、必要な図面などの復元などに時間がかかるので注意が必要です。

 

同一棟増築で完全分離型の二世帯住宅にする際はリノベーションも同時に行うケースがほとんど!

増築して完全分離型の二世帯住宅にするには、リノベーションも同時に行う必要がある場合がほとんどです。

増築だけで完全分離型の二世帯住宅にできるケースは本来2、3階建ての住宅を建てられる場所に平家で建築した場合や、土地が広い場合などでしょうか。

このような条件の既存建物は都心ではほとんど見られません。

そのため、増築しつつ完全分離型の間取りになるようにリノベーションを同時に行なっていくことになるでしょう。

二世帯住宅へリノベーションをする際の注意点は別の記事でまとめていますので、ぜひ読んでみてください。

二世帯住宅の完全分離型へ増築をご検討の方!

私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。ご家族の生活に合致した間取りの二世帯住宅をご希望の方は是非ご相談ください。