二世帯住宅、予算3000万円の場合!
目次
「予算3000万円でも、二世帯住宅は建てられますか?」
二世帯住宅の建築費用の相場を調べると、5000万円代以上のものが多いので、心配される方も多いようです。
結論から言うと、予算3000万円でも二世帯住宅は建てられます。
今回のコラムでは、予算3000万円で二世帯住宅を取得する場合を想定して建物の規模感や間取りなどを検証してみます。
二世帯住宅、予算3000万円での取得方法について
私たちの二世帯住宅に関する記事の中で、何度かご紹介したことがありますが、二世帯住宅の取得方法は主に次の2種類の方法があるかと思います。
・新築で取得する
・既存建物を活用して取得する
既存建物を活用して二世帯住宅を取得する方法は、リノベーションやリフォーム、増築や用途変更などがあります。特に親世帯が所有している土地、建物を活用した二世帯住宅の取得を希望される方は増えてきている印象を受けます。
都内では税金対策として二世帯住宅の取得を検討される方もいらっしゃいますが、既存建物の活用には、法的な手続きや工事など、既存建物を取り扱った設計特有の問題発生リスクを伴います。
リノベーションや増築、用途変更などによる二世帯住宅の取得を検討されているかたは、事前にどのような問題が発生しやすいのか、確認しておくとよいでしょう。
新築で取得するメリットとデメリット
【メリット】
二世帯住宅を新築で取得するメリットは、間取りの自由度が高い点が大きいでしょう。
二世帯住宅は住まう人数が多くなる上に年齢層の幅も小さな子どもからお年寄りまでと広くなります。世帯ごとにライフスタイルが大きく異なるため、よりきめ細やかな配慮が行き届いた設計が求められます。
間取りの自由度、計画の自由度が高い新築は二世帯で新しい生活をスタートさせる拠点をつくる上で、理想的な取得方法と考えられます。
【デメリット】
一方、新築のデメリットは既存建物を活用して二世帯住宅を取得するよりも、費用が大きくなり、工事期間も長くなることです。
これに関連してよく話題になるのが、工事期間中の住まいの確保にかかる手続きの手間や費用です。
例えば、元々親世帯が持っていた不動産を売却した費用を元手に二世帯住宅を新築する場合、工事期間中に親世帯の住まいを確保するために賃貸契約したり、あるいは子世帯と短期間共同生活をしたりなど、新築に付随した課題があることもあらかじめ想定しておくとよいかもしれません。
既存建物を活用して二世帯住宅を取得するメリットとデメリット
【メリット】
先ほども述べましたが、最近では既存建物を活用した二世帯住宅の取得を希望される方も増えてきています。既存建物を活用して二世帯住宅を取得するメリットは、新築に比べて費用を安く抑えることができる点です。
また、どちらかの世帯が住宅として使っていた建物を活用する場合は、どちらかの世帯が住み慣れたエリアで生活できる点も、捉え方によっては都合が良いと考えられる点です。
特に、高齢者になる親世帯は、子世帯に比べて新しい生活の拠点になれるまで時間がかかるケースの少なくありません。高齢者世帯も社会との接点を持ち続けられるように、あえて既存建物を活用される方も実際にいらっしゃいました。
このように、生活のなかで積み重ねられてきた、営みや記憶などを引き継げる点も魅力と考えられるでしょう。
【デメリット】
一方、既存建物を活用した二世帯住宅の取得のデメリットは、間取りの自由度が制限されることです。
例えば、「リビングを広くしたいから、この壁を撤去したい」というご要望をいただくことがありますが、それが主要構造部にあたる場合は、住まい手の生命の安全を守るために、撤去することはできません。
このように、既存建物の状況に応じて間取りが制限され、全ての要望を叶えることが困難になる場合があるのです。
また、既存建物を扱う計画特有の問題が発生する場合もあります。
例えば、実際に工事が始まって、既存建物の一部を解体した際に図面に記載されていない構造部材が出てくるなど、図面や実際の建物を目視した情報だけではわからなかった問題が出てくることがあります。
このような問題に直面すると、余計な費用や時間がかかることにつながることもありますので、既存建物を活用して二世帯住宅を取得する場合には、このような問題発生リスクがあるということを理解しておくことがポイントです。
予算3000万円で実現できる二世帯住宅を検証
二世帯住宅の延床面積を計算してみよう
二世帯住宅を予算3000万円で新築する場合、どの程度の規模感になるのか検証してみます。木造住宅の坪単価を(※)75万円/坪と仮定して考えてみると、次のように計算できます。
3000万円(予算)÷75万円/坪=40坪
この式によると、40坪程度の延べ床面積の二世帯住宅を新築できることがわかります。
(※)この検証で用いられている坪単価は、仮定の金額です。坪単価は建物規模や仕様など、お客様のご要望に応じて変動いたしますことをご理解の上、引き続き検証の内容をご参照ください。
二世帯住宅の間取りを想定してみよう
さらに踏み込んで基本となる居室に割り当てられる坪数を(※)間取り係数を1.8として考えてみると、次のように計算できます。
40坪÷1.8=22.22坪
22.22坪は73.45m2です。つまり、73.45m2はリビングやダイニング、寝室や子ども部屋などの基本的な居室に割り当てることができることになります。
(※)間取り係数は、建築家の吉田桂二氏が考案した、基本の居室の面積を考える際の係数です。1.5以下は住宅として不成立とされ、2.0以上の場合は逆にゆとりが有りすぎると判断されます。住宅設計では間取り係数1.8程度が良いと考えられています。
例えば、親世帯夫婦2人、子世帯夫婦2人、子ども1人の計5人で生活する場合を仮定すると、次のような間取りを想像できるのではないでしょうか。
親世帯夫婦寝室:8畳
子世帯夫婦寝室:8畳
こども部屋:6畳
リビング:12畳
ダイニング:10畳
合計=44畳=72.60m2
以外と各室を広く確保できているように感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは部分共有型の二世帯住宅を想定しており、お風呂やトイレなど部分的に共有する場合で考えているからです。
最近は、家族間でもプライバシーを保ちたいという方が多くなりました。そのような方でも、スマートに間取りを計画することで、検証のような広々としたリビング、ダイニングを実現することもできるのです。
二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方
私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。
一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。
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