3階建て二世帯住宅のポイントを一級建築士が解説!
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広い敷地面積が確保しづらい都内で二世帯住宅を新築しようとすると、3階建ての規模を積極的に検討する方法を取り入れるケースが多いです。しかし、3階建てにする場合は様々な満たすべき要件があることも理解しておく必要があります。今回のコラムでは3階建て二世帯住宅にする場合に抑えておきたいポイントを解説していきます。
3階建て二世帯住宅は構造計算書が必要!
3階建て二世帯住宅を木造で新築する際には、構造計算書の提出が必要になります。
2階建て二世帯住宅の場合、構造計算書は必要ありません。
構造計算書が必要だから安全?
3階建て二世帯住宅の場合は構造計算書の提出が義務付けられているので、建物の安全性はより明確に保証されます。
構造計算書が必要ない2階建て二世帯住宅の場合であっても、許容応力度計算や壁量計算などをしっかりと行い構造上の安全性を満たすように設計をします。また設計事務所は構造設計事務所と協力して提出が求められていなくともしっかりと構造の安全性を確保します。
2階建て二世帯住宅でも構造計算をした方がいい場合も!
2階建て二世帯住宅の場合、構造計算書は不要ですが、間取りによっては構造計算を行い安全性の確認をしておくと良いでしょう。構造計算をしておいた方がよい場合の間取りやデザインは大きな吹き抜けや壁の少ない大空間がある間取り、大きな開口部が連なっているデザイン、スキップフロア型などが挙げられます。
開放的な二世帯住宅にしたい方は多いと思いますが、構造的な安全性の判断は難しいと思うので、一級建築士に構造計算の必要性を相談しながら間取りづくりを進めていくとよいでしょう。
構造計算には費用や期間がかかる点がポイントです。
構造計算は構造設計事務所が行います。構造計算は建物の安全性を多角的に検証します。A4用紙で100枚から200枚になるのが一般的で、設計事務所はこの内容を全て確認します。構造計算には建物の規模や間取りの内容によって異なりますが、3階建て二世帯住宅の場合では1ヶ月程度の期間がかかると考えておくとよいでしょう。費用については、建物規模やデザインによっても異なりますが、参考までに最低でも30万円以上はかかると考えておきましょう。
3階建て二世帯住宅の場合は、防火地域もしっかり確認しましょう
新築で3階建て二世帯住宅を建てる場合には、立地条件もこだわりたいというのが本音でしょう。商業エリアや駅に近い場所など、体力も衰えてくる親世帯の生活も考慮すると利便性の高いエリアに建築したいですよね。
防火地域は、このような利便性の高いエリアで指定されていることが多いです。3階建て二世帯住宅を防火地域に建築する場合は耐火建築物としなければなりません。
耐火建築物の仕様は費用が高い!
耐火建築物は仕様の基準が非常に厳しく、適合するように設計すると通常よりも費用があがります。3階建て二世帯住宅の費用をなるべく抑えたい方は防火地域を避けると良いでしょう。準防火地域や22条地域と呼ばれるエリアであれば、求められる基準が緩和され耐火建築物に求められるよりも費用を抑えることができます。
3階建て二世帯住宅で家庭用エレベーターを導入する際のポイント
外出の頻度が少なくなる親世帯は上階を占有する場合も少なくありません。親世帯の階段の上り下りや介護が必要になった時のことを考慮すると家庭用エレベーターの導入を検討することもあるでしょう。
家庭用エレベーターのネックは意外な大きさ
家庭用エレベーターは3人乗り程度の大きさです。車椅子のまま昇降できるうえ、介助者も同上できるといった利便性がありますが、それなりのスペースが必要になります。
家庭用エレベーターは定員3名以下、面積が1.1m2以下であることが建築基準法で定められています。大体畳半分くらいのスペースですが、設備スペースなども入れると全体で1坪弱くらいの大きさが必要になります。家庭用エレベーターを導入する際には間取りの大きさなどをしっかり確認しておくことが重要です。
後悔のない3階建て二世帯住宅づくりを!
3階建て二世帯住宅は満たすべき基準などの要件も多く、どの基準も2階建て以下の2世帯住宅よりも厳しい内容のうえ、費用や期間などにも影響してきます。このような難易度の高い設計条件は通常のハウスメーカーやビルダーでは対応が困難でしょう。
土地がコンパクトになりがちな都心でも十分な床面積を確保できる3階建て二世帯住宅の相談は設計事務所にするのが良いでしょう。
二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方
私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。
一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。ご家族の生活に合致した間取りの二世帯住宅をご希望の方は是非ご相談ください。