2022/03/14 間取り

二世帯住宅の完全分離で後悔しない間取りのポイント

目次

今回のコラムでは、二世帯住宅の完全分離で後悔しないための間取りづくりのポイントについてご紹介していきます。

二世帯住宅の完全分離で後悔しないために、まずは間取りの特徴を理解しよう!

二世帯住宅の完全分離の特徴を簡単にご紹介していきます。

まず、はじめに、二世帯住宅の完全分離の2種類の住み分け方について確認していきましょう。

二世帯住宅の完全分離は左右と上下の2種類の住み分け方があります。

二世帯住宅の完全分離は左右か上下で親世帯と子世帯が分かれます。

都心では限られた土地の大きさを有効に活用しやすい点から、上下で分かれて生活をする完全分離の二世帯住宅を選ぶ方が多いです。

上下の分かれ方は親世帯が下階、子世帯が上階に住む場合が多く、小さなお子さんがいらっしゃる場合などの足音やその他の生活音などが問題になるケースが多いです。

二世帯住宅の完全分離を検討する際には左右、上下、どちらの分かれ方がよいのか検討することが重要です。

二世帯住宅の完全分離のメリットは?

二世帯住宅の完全分離のメリットは、プライバシー性能の高さです。

現代では家族であってもプライバシーの確保が重要視されます。二世帯住宅の完全分離はこの点においては、3つの間取りタイプの中で最も優れています。

二世帯住宅におけるメリット、デメリットの話は別のコラムでまとめていますので、是非ごらんください。

二世帯住宅の完全分離のデメリットは?

完全分離型の二世帯住宅のデメリットは建築費用が高くなってしまうことではないでしょうか。

玄関や風呂、トイレ、洗面などといった水回りなど、すべての住宅設備や建具などが二世帯分必要になりますので、当然価格も高くなります。

ただし、住宅設備や光熱費を分けられるという点では、生活を営む上での費用の負担を明確にわけられますし、「初期費用が多少かかっても生活のストレスを軽減したい」とお考えの方は完全分離型二世帯住宅を希望されます。

コストコントロールをしっかり行えば、完全分離でも費用を抑えることが可能ですので、経験のある設計事務所や建築会社などの専門業者に相談してみましょう。

二世帯住宅の完全分離の事前に知っておきたいこと!

二世帯住宅の完全分離で失敗しないためのポイントについてご紹介します。

費用も高くなりがちな、二世帯住宅の完全分離で失敗しないポイントをしっかり確認していきましょう。

家族構成から考える方法がある!?

二世帯住宅には、完全同居、部分共有、完全分離の3つの間取りのタイプが存在します。どの間取りタイプにするかは、様々な検討を重ねた上で決めるべきです。

間取りタイプの検討の方法の1つに家族構成から間取りのタイプを考える方法があります。

完全分離型二世帯住宅はどのような家族構成でも住みやすいですが、男性側の両親との二世帯生活を行う場合に選びたい間取りタイプです。

ご自身の家族構成と二世帯住宅の間取り選びのポイントについて、理解しておくと検討材料が増えるので二世帯住宅をご検討の際はぜひ試してみてください。

音の問題を回避する間取りづくりを心がけましょう!

二世帯住宅の完全分離の2種類の住み分けかたで、よくあるのが上下に分ける場合の住み分け方です。

上下に分ける場合には、子世帯が上階、親世帯が下階を占有することが多い傾向にあります。そこで、問題になるのが音です。上階から床を介して響く足音が問題視されます。

これを防ぐ方法としては、遮音性の高い床の仕様にする方法と間取りの位置関係を上下階でコントロールする方法があります。

遮音性能を究極的に高めることは費用をかければ可能ですが、遮音性にあまり費用をかけられない場合には間取りの配置で少しでも音の発生を防ぐようにしましょう。

二世帯住宅での暮らしを始めたあとで気になってしまう音の問題。

小さなストレスを抱えないためにも、様々な対策方法を理解しておくとよいでしょう。

世帯間の行き来やつながり方を意識しましょう!

二世帯住宅の完全分離はそれぞれの世帯のプライバシーが高く生活の独立性も高いですが、その分世帯間の往来やつながりが希薄になりがちです。

二世帯住宅の利点の1つは親世帯と子世帯がお互いにサポートしやすいことです。

コミュニケーションが希薄になってしまうと、いざというときにお互い相談しにくいと感じてしまう場合もあります。

そこで、考えたいのが世帯間の往来の仕方やつながり方です。

過去には、「小規模住宅地の特例」に適用させるために、住宅内に世帯間をつなぐ扉を設けるなどがありましたが、2015年以降はこのような扉がなくても相続税を抑えられるようになってきました。

コストのかかる扉の設置は確かに有効ですが、テラスやバルコニーといった外部空間で世帯間のコミュニケーションを作る場合がスマートです。

私たち二世帯住宅プランニングでも、外部空間をつかって世帯間が良好なコミュニケーションを取れるような設計・デザインを推奨しています。

ただし、土地の大きさによっては外部空間でのつながりの場を作るのが難しい場合もあります。二世帯住宅の完全分離をつくる場合には、最低でもどの程度の大きさの土地が必要なのか、把握することも重要です。

光熱費の取り決めを事前にしておきましょう!

二世帯住宅の生活を始めた後で気になるのが光熱費や生活費などの費用負担の割合です。

特に二世帯住宅の完全分離では、光熱費を世帯ごとにわけるか家族で十分に話あうことが重要です。

ガス・電気・水道などのライフラインにあたるインフラは、引き込みの工事費用が安くありません。

世帯ごとに光熱費を分ける際には基本料金は世帯ごとにかかってしまいますので、家族でしっかり議論をしておくことが必要です。

二世帯住宅の光熱費は基本料金の重複を避ける方法など、光熱費を分ける際に抑えておくべきポイントも事前にしっかりと理解しておくとよいでしょう。

将来的な不動産の活用の検討に気をつけましょう!

二世帯住宅の完全分離の失敗でよくあるのが「二世帯住宅の完全分離は将来的に売却ができると聞いていたのに実際には売れなかった」という話です。

二世帯住宅の販売業者のセールス文句の中には「二世帯住宅の完全分離は将来売却しやすい!」と謳っているものもありますが、実際に売却するのは非常に難しいです。

賃貸においても同様で、賃貸市場での競争力をつけるのは非常に難しいです。

間取りのプランや立地条件などによっては借り手がつかないままになってしまうことも少なくありません。

二世帯住宅の将来の活用方法については、以下の記事でまとめているので内容を理解しておくとよいでしょう。

相続税を節税する方法を理解しておきましょう!

二世帯住宅を相続税対策として取得される方も多いのではないのでしょうか。

二世帯住宅は相続時にトラブルになることが多いです。

完全分離の二世帯住宅の場合は比較的問題が少なく済む場合が多いですが、完全分離の二世帯住宅の場合には、登記の際の区分所有物か否かの取り扱い方を失敗してしまったことで、せっかく二世帯住宅を建てたのに「小規模宅地等の特例」の要件を満たせない場合もあります。

都内では相続時の税金が非常に多くかかってきますので、あらかじめ注意が必要です。

二世帯住宅の完全分離をリノベーションで取得する場合も注意が必要です。

二世帯住宅の取得方法で近年、注目を集めているのがリノベーションによる二世帯住宅の取得です。

親世帯がすでに所有している土地、既存建物を活用することで建築費用を大幅に抑えることができます。この方法での二世帯住宅の取得をされる方が増えています。

リノベーションの計画で完全分離の二世帯住宅へと改修工事を行う際には、階段の計画や構造の関係から、上下で分ける場合の完全分離の間取りになる傾向にあることを理解しておきましょう。

リノベーションを行う際には、既存建物と図面の整合性など新築と異なる注意点が出てきます。リノベーションによる二世帯住宅の取得を検討されている方は、しっかりと理解しておきましょう。

二世帯住宅でよくある後悔とその解決方法

さて、今回のコラムの本題ですが、二世帯住宅の後悔の原因の多くは、親世帯と子世帯の習慣の違いによるところがほとんどです。

生活習慣の違いの代表的なものは、就寝・起床、食事や入浴のタイミングなど「時間」の違いによるものが挙げられますが、このような時間習慣の違いは生活を始めた最初は大変ですが、慣れてしまうとそれほどストレスを感じなくなるところでもあります。

それでは、実際にストレスになってしまう生活習慣の違いとはどのようなものなのでしょうか。それは、玄関の使い方、キッチンの使い方、収納の使い方などの「使い方」の習慣の違いなのです。

ここから代表的な使い方のストレス例をご紹介しながら、そのトラブルを回避するための間取りづくりのポイントを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

キッチンの使い方

二世住宅での後悔話として多いのが、キッチンの使い方です。

キッチンはほとんど毎日利用される場所で、キッチンを共有している二世帯住宅では親世帯と子世帯が多少のストレスを感じてしまう場合があります。

今では男性も家事・炊事に積極的に関わるようになってきましたが、まだまだ女性が主体となって家庭のことを行う習慣が根強い現状です。

例えば、調理器具や調味料の配置、洗い物のタイミングや洗い方の習慣の違い、シンクに物を置きっぱなしにするのを許容できるかできないかなど、様々な使い方の違いが微妙なストレスになりお互いに使い方について指摘が始まるとかなり大変になります。

「使い方の違いは個人の習慣だから仕方がない」と割り切れればいいのですが、やはり毎日生活をしていくとなると少しずつ気になってしまいますよね。

それでは、どのようにしたらこの微妙なストレスを軽減することができるのでしょうか?

私たちが設計の際にチェックしているポイントやノウハウをご紹介します。

二世帯住宅で後悔しないキッチンの作り方

一番手っ取り早く、キッチンの使い方の問題を解決するなら、キッチンを二つ設けるのが最も早く効果的な解決方法でしょう。

しかし、キッチンを二つも設けるほど予算やスペースに余裕がないというのが実際のところです。そのような場合は二世帯が快適に使えるようにそれぞれの使い方の習慣に合わせてオリジナルのキッチンを製作する方法があります。

例えば、1つのキッチンにコンロ、シンクをそれぞれ二つずつ設け、親世帯と子世帯の利用範囲を明確に分けたり、調理器具の収納棚なども分けたり、各世帯のテリトリーがはっきりと分かれるだけでもストレスは軽減されます。

キッチンのスペースが十分に取れる場合は、コの字型、L字型、アイランド型など様々な形式のキッチンを検討し、キッチン内での動線やお互いのワークスペースが被らないようにするのも効果的です。設計段階で各世帯のキッチンの使い方を設計者に細かく伝えることで、二世帯住宅のキッチンをより快適に設えることができます。

収納の使い方

二世帯住宅で後悔する例として収納スペースの使い方もよく挙げられます。

そもそも1つの建物に2つの世帯が入る二世帯住宅では、普通の戸建住宅以上に納戸やウォークインクローゼットなどの収納を十分に確保することが求められますが、実際には生活スペースの広さを確保すると収納のスペースが少なくなってしまうケースがよくあるのです。このように限られた収納スペースを二世帯でシェアして使うことになると、お互いの整理の仕方やプライバシーの面でストレスを感じてしまうケースが多いです。

例えば、玄関周りに設けたシューズクローゼットなどでは、汚れや湿気に弱い靴と一緒に家庭菜園のグッズが置かれていたり、ファミリークローゼットに入れていたコートなどの配置が変わっていて朝の忙しいタイミングで余計な時間がかかってしまったりなど、気分が下がってしまう出来事が起こってしまうことも。

このようなストレスを回避するために、収納づくりのポイントをいくつかご紹介します。

二世帯住宅で後悔しない収納の工夫

収納を設ける際もさきほどご紹介したキッチンの時と同様に、それぞれの利用範囲を明確に分けておくことが重要になります。

領域分けの方法には、様々な方法がありますが、ここでは高さで使う範囲を分ける方法をご紹介します。ポイントは次の通りです。

  • 親世帯の利用範囲:目線の高さの半分から下(0cm~75cm)
  • 子世帯の利用範囲:目線の高さの半分から上(75cm~150cm)

高さで利用範囲をわける利点は、体の衰えを感じ始める高齢の親世帯も日常的に利用しやすいというところです。また、子世帯の収納スペースが目線の高さの範囲に集まるので、インテリアの雰囲気にも統一感が出しやすくおしゃれな雰囲気をキープできます。

収納は可動の間仕切り棚にしておくことで、様々なサイズやシーンに合わせて収納スペースの割り当てを柔軟に変更することができます。可動間仕切り棚であれば、どちらかの世帯が収納を使わなくなった際にも便利です。

土地の大きさや予算の都合など条件によっては、十分なスペースを確保することが難しいケースもあります。

コンパクトな二世帯住宅で収納スペースを確保する方法として、デッドスペースの有効活用があります。階段の下や床下、屋根裏などのわずかなスペースも無駄なく収納スペースとして活用することでものが溢れていない整った雰囲気を保つことができます。

玄関の使い方

二世帯住宅の玄関は意外なストレスの要因が潜んでいます。

玄関を共有していると、「友人を招きにくい」、「シューズクローゼットの使い方が合わない」、「朝の通勤、通学のタイミングに玄関が混雑してしまう」など生活の送る上でストレスを感じてしまうシーンがでてきます。

二世帯住宅の計画では、主要な諸室の大きさの確保を優先してしまい、玄関の重要度は比較的下がる傾向にあります。例えコンパクトな玄関になってしまったとしても、少しでも工夫を凝らせば効果があります。次に紹介する方法をぜひ取り入れてみてください。

二世帯住宅で後悔しない玄関の作り方

二世帯住宅の玄関の問題の二世帯の動線が重なってしまっていることが原因のほとんどです。なので、問題を解消するにはこの動線の重なりをなくしてしまえばいいというわけです。

例えば、朝の玄関の混雑を緩和したいという方は、各世帯で左右にそれぞれシューズクローゼットを配置すると、外出や帰宅の際に親世帯は左へ、子世帯は右へと自然と動線の重なりを解消することができます。友人などを頻繁に招きたいご家庭では、逆にシューズクローゼットを中央に配置して、玄関スペース自体を左右に分けることで、それぞれの客人をスムーズに通しながら玄関の混雑の解消も可能です。

二世帯住宅の玄関を共有する際はスペースを確保しづらい条件のなかでもある程度の大きさを確保するように意識することが重要です。費用はかかりますが、玄関を思い切って別にするという方法もあります。以下の記事で玄関を別にする際のポイントをご紹介していますので、二世帯住宅の玄関でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

土地の選び方が後悔の原因になる場合も!【豆知識】

土地にかかる法規制をよく理解しない状態で、価格だけ考慮して土地を購入してしまうと、思わぬ後悔につながってしまいます。

ほとんどの方がご存知かと思いますが、土地に建てられる建物の大きさは法律によって制限されます。土地購入の際には、担当の不動産会社の方が、どの程度の大きさまで建築できるか知らせてくれるので、購入前にどの程度の規模の建築ができるのか把握し、ご自身の理想と比較しながらしっかりと検討しましょう。

二世帯住宅、この土地の大きさで足りる!?必要な大きさを知ろう!【豆知識】

購入を検討している土地で理想の大きさ感が実現できるのかを簡単にシミュレーションする方法があるので、ここでご紹介します。

どの程度の広さの土地が必要なのかを事前に把握しておくと、建築時に「もう少し広い土地にしておけばよかった」と後悔せずに住むかもしれませんよ。

自身の理想の二世帯住宅の規模を把握するには、間取り係数を活用します。間取り係数を活用することで生活にゆとりが出てくる床面積の目安を簡単に知ることができます。計算式は次の通りです。

  • 基本の部屋の面積(坪)× 間取り係数=延床面積(坪)

基本の部屋に該当する部屋は主に、リビング、ダイニング、寝室で、キッチンやトイレは基本の部屋には含まなくて大丈夫です。

畳1畳で大体0.5坪なので、8畳なら4坪、6畳なら3坪など、各室の畳数の合計を半分にした値を活用してください。

間取り係数が1.5だと比較的コンパクトな住宅、1.8くらいからゆとりを感じ始めます。

ご自身の二世帯住宅にゆとりを持たせたいとき、実際にどの程度の床面積が必要なのか、この機会にシミュレーションをして把握してみましょう。

二世帯住宅の将来の活用方法について【豆知識】

最近では、「二世帯住宅は完全分離型だと、売却しやすい!」や「二世帯住宅の完全分離型なら将来、賃貸利用もできます!」などというセールス文句も多く見受けられます。

私たちは将来、二世帯住宅の売却をすることは非常に難しいと考えています。賃貸の利用も、二世帯住宅の場合は借り手をつけるのが非常に大変です。

二世帯住宅を将来売却したり、賃貸利用したりしたいのであれば、ある程度の費用や時間がかかることを理解しておくことが重要です。二世帯住宅の将来的な活用方法については、以下の記事で解説しています。

二世帯住宅の後悔要因は至る所に潜んでいる!?

今回のコラムで紹介したもののほかにも、二世帯住宅の後悔要因は水周り、寝室、電気や給排水の設備スペース至るまで様々な所に潜んでいます。ストレスの原因を最小限に抑えるためには、設計段階でどれだけ配慮した設計が行えるかがポイントになります。自身が信頼できる設計のプロに相談するのが良いでしょう。

二世帯住宅の間取りや設計、リノベーションでお困りの方

私たちは二世帯住宅の設計実績のある一級建築士事務所です。

一級建築士事務所として、法律や技術など建築に関する専門的なノウハウを駆使してお客様の二世帯住宅づくりを徹底的にサポートいたします。

ご家族の生活に合致した間取りの二世帯住宅をご希望の方は是非ご相談ください。